2012年01月02日

自分を理解する


自分の気持ちが理解できなくて、他人の気持ちを理解できるはずがありません。対人関係のなかで起こる問題やトラブルでは、相手に対するあなたの嫌悪感や拒否反応の多くには、自分自身が深く反映されています。

それは、「私は相手とは別の次元に生きている」という比較です。つまり、概念的で主観的な発想であり、事実とは異なります。

トラブルの多くは、相手への拒否反応を示しており、相手があなたに不快感を与えているのはわずか10%です。残り90%はあなた自身が自分の意志で相手を拒否することが問題となります。

例えば、会社の同僚に、「あなたの態度はとても腹が立つ」と言われたとします。もし、この同僚が、あなたがあまり好きではない同僚であればあるほど、「あなたに、そんなことを言われる筋合いはない」と反抗してしまいます。

これは、あなた自身が感じる不快感を主体に行動するのが、90%の状態を示します。これは、「腹が立つ」と発言しているのは同僚であり、相手自らの価値観や感情から発言しています。

もし、この点を理解せず、相手を否定的に捉えてしまえば、事実は歪められ、相手との気持ちが入り乱れて、あなたは感情的になってしまいます。相手には起こるだけの理由、つまり何らかの事実が存在します。実際、相手も自分の思い込みだけで感情をぶつけていることがよくあります。

例えば、誰か特定の人物に対して、はっきりとした原因もなく苛立ちや不快な気分を感じることはありませんか。そういう相手は、自分が「こうありたくない」「自分を見ているようで苦しい。だから腹が立つ」と抑え込んでいる部分であり、自分の「影」の部分でもあります。

これは、相手に自分を投影していたり、過去の自分を投影しているため、その存在を過剰に嫌悪します。すると、相手に対して、攻撃的になったり、傷つけるような態度や言動で接してしまうのです。

これらの対人関係のトラブルの多くは、自分を理解し、誰のどのような問題なのかを見極めることで、抑制可能です。自分と相手の気持ちを混同させることなく、この法則を厳守することにより、相手の気持ちを非誘導的に読み解けるようになります。

人は、思考、感覚、感情、直感という、一連のパターンの中で動きます。違うのは、個人の価値観や感情レベルによって、刻む行動パターンがそれぞれ異なるだけです。

その価値観とは、「習慣となって形成された心の動き」です。つまり、何かの出来事に接したときに、知らないうちに起きている心の動き、習慣となっている心理機能がその人の価値観を生み出しています。また、価値観の形成に関わっている大きな因子が環境因子です。

どんな環境の中で育ち、物事をどう捉える癖がついているかが、性格を形成する大きな要因となっています。

人は、自分の身に問題が起きたときには、自分を苦しくない方向へ導いてしまいます。苦痛を避ける反応パターンを自分の過去の経験から決定するからです。同じ間違いを繰り返してしまう人は、その事実に本人が気づいていないことがあります。

自分を理解することには痛みが伴います。人は、障害を乗り越えることに対して不安を抱えます。また、成功したときにも恐怖すら感じることもあります。よって、同じことが繰り返され、自分の意志で、成功よりも失敗を選ぶサイクルを強化してしまいます。

自分を理解することは、価値観がどのように形成されてきたかを探ることに繋がります。そして、どのような子ども時代を送ってきたのか、親との関係を再認識します。すると、価値観の多くが、親から多大なる影響を受けていることを思い知ることとなります。

子どもは小さい頃から、親の価値観を強制されて育っています。「文句を言わないで勉強しろ」「お前のためだ」「それが一番いい方法だ」「お姉ちゃんなんだから我慢しなさい」という指示や命令です。これらのメッセージの多くは、子どもに「良い子」であることを期待する親の価値観から発せられています。

一方的な指示や命令は子どもを親に従順させるか、繊細で臆病な性格にさせるか、反抗して非行に走らせるかといった傾向が助長させる悪影響を生みます。

私が思う親の役目とは、子どもに考える能力を与え、自分の力で精神的に自立させ生きていけるようにさせることだと思っています。親に従順で真面目に育つほど、子どもの自立は遠ざかり、問題やトラブルが起きたときは自己処理ができず、暴力という歪んだ形で表現する可能性が高くなります。

このように、価値観の形成に関わる環境因子に目を向け、自分の価値観や普段の言動に親の影響を感じたら、素直に受け入れ、感情の流れを追う、感じるまま味わうというプロセスを通じて、自分自身を「今」に向けることができ、自分を理解できてはじめて、相手が理解できるようになります。


posted by 松田英貴 at 19:08| Comment(0) | TrackBack(0) | コミュニケーション
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