2011年11月16日

ショックドクトリンとTPP


2011年11月14日夜、野田総理はハワイでのAPEC出席を終えて帰国しました。今年のAPECではTPPが話題の中心であり、その波に乗るため、APEC出席直前まで、民主党内の意見調整が続き、結局、「環太平洋パートナーシップ協定の交渉参加に向けて、関係国との協議に入る」という曖昧な表現を残し、日本はAPECに臨むことになりました。

案の定、TPP参加国の首脳からは日本の態度がはっきりしないと受け取られたのか、TPP参加9ヶ国の会議に野田総理は招待されませんでした。

日本のTPP参加に意欲的だった野田総理にとって、この仕打ちはメンツ丸つぶれでした。

しかし、今回のハワイAPECでのオバマ政権の動きを観察すると、アメリカの狙いは、アジア太平洋で台頭する中国を抑えることです。中国に1人勝ちさせないため、自由貿易という、中国にとってはハードルの高い道具を持ち出したわけです。

中国が「まだTPPに招待されてない」と言えば、アメリカは「招待されるものではなく、自ら参加の意思を表明するものだ」と反論しています。

以上の分析からオバマ政権にとってのTPP参加の目的は、日本をTPPに巻き込むためというより、APEC経済圏での中国孤立化を主目的としているとみなせます。

現在、主な自由貿易協定としてはEUやNAFTAなどがある。GDPではアメリカを含むNAFTAが17.19兆USドルでトップだ。2位は、EUで16.10兆USドル、ASEANは1.80兆USドルで3位である。

しかし、そのASEANに日本、中国、韓国が加わればどうなるか。韓国をも加えればそのGDPは約14兆ドルにもなる。

実は、日本が政権交代後の鳩山政権まで描いていた経済共同体構想の筆頭はASEAN+3である。元々、日本とASEANは1970年代半ばより首脳、外相レベルの会談を行ってきた。

このASEAN+3が欧米にとっては脅威と映るのも無理はないが、アメリカが参加することはなかった。なぜなら、アメリカがここに参加しても米主導とはならないのは明らかであったからである。

興味深い事件として記憶に新しいところでは2009年の4月11日、ASEAN10カ国、日本、中国、韓国の首脳会議がタイで行われるはずであったが、アシビット首相の退陣を求める親米タクシン元首相派の反政府デモ隊が会場となるホテルに乱入し会議は中止に追い込まれている。

果たして、この事件は偶然だったのだろうか・・・

2010.3.11 オバマ米大統領が今後5年で輸出を倍増する「国家輸出戦略」を発表し、アジアに米国製品を売り込む姿勢を鮮明にした。失業率が9.7%と高止まりするなか、輸出主導の景気回復で雇用増につなげる狙いだ。日本へも市場開放の圧力が強まる可能性がある。 (asahi.com 2010年3月13日2時50分)

「日本へも市場開放の圧力が強まる可能性がある」と記事に書かれている。その記事のタイトルは『米国製品、輸出倍増戦略 オバマ政権、アジアに照準』である。

2011.3.11 東北太平洋沖地震・・・これも偶然だったのだろうか・・・

そして、ショックドクトリンが行われたのである。

ショックドクトリンとは、政治や経済の目的を達成するための権力の理念である。市場至上主義を貫徹する最善の時期と方法は、大きなショックの後である。経済の崩壊、天災、テロ、戦争の後(社会全体の抵抗力が弱まる点)に、人々が混乱をして自分を見失った一瞬の隙を衝いて、「経済のショック療法」が強引に行われます。国家の極端な改善を一機に全部やります。

危機を利用する考えは、この思想特有のものではなく、これが現代の主流思想でもある。

急進的市場経済改革の達成は大規模な危機なしにあり得ない・・・

もうお分かりだろう・・・

TPPとはASEAN+3 に対しての中国への牽制であり、アメリカの日本に対する急進的市場経済改革の要求である。


posted by 松田英貴 at 18:08| Comment(0) | TrackBack(0) | TPP
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